夏や冬に大活躍するエアコンは、今や必要不可欠な家電の一つです。特に夏にはフル稼働して、私たちの生活を快適にしてくれます。
エアコンの故障の中でも、よくある問題の一つが「冷えが鈍い、全く冷えない」という症状です。みなさんも一度はこの経験をしたことがあるのではないでしょうか。
この問題が起きた場合、多くの人が最初に思い浮かべる原因が「ガス漏れ」です。
しかし、ガス漏れが起きている場合でも、単にガスを補充するだけでは問題が解決するわけではありません。実際には、ガス漏れ以外の原因も多くあります。
この記事では「エアコンが十分に冷えない、暖まらない場合に考えられる原因や確認方法、対処方法」について解説します。
エアコンが「冷えない・暖まらない」原因はガス漏れ?
エアコンが冷えないまたは暖まらない場合、最初に考えてしまうことは「ガス漏れ」ではないでしょうか?
通常、適切に取り付けられたエアコンにはガス漏れの問題はほとんどありません。年数経過や製品の不具合・故障、無理な移動などがなければ、ガス漏れすることは無いでしょう。
エアコンを設置してから1〜2年で冷えない・暖まらない症状が現れる場合、その原因の多くは施工ミスによるものです。
例えば、適切に配管を加工できていないなどの理由で接続部から徐々にガスが漏れてしまい、結果としてガス不足の状態になり、冷房や暖房が効かなくなってしまいます。
ガス補充だけでは意味がない。原因解決が必要!
ガスが原因で冷えなくなったり、暖まらなくなった場合、単にガスを補充するだけでは問題が解決しません。ガスを補充しても、徐々に漏れ続けるため、一時しのぎになるだけです。
ガス漏れの場合、根本的な漏れの原因を解決する必要があります。
例えば、漏れている箇所を特定するために検知器などを使用し、原因がある部分を交換する・やり直すなどの対策が必要です。
施工による漏れの原因としては、接続箇所からの漏れがよく見られます。その場合、接続部分を一度外し、加工をやり直して再度接続する必要があります。
具体的な手順としては
- 漏れている箇所を特定
- ガスを回収
- 特定した箇所を取り外し、必要に応じて加工や部品の交換を行う
- 再度接続し、真空引きを行う
- ガスを充填
以上の手順が必要であり、予想以上に費用がかかることもあります。
現在使用されているガスは追加補充ができないため、ガスが残っている場合でも、一度ガスを完全に回収する必要があります。そのため、費用が予想以上にかかる可能性があります。
自分でガス漏れを確認する方法
ガス漏れした配管の状態。霜が付いている
簡易的ですが、自分でガス漏れを確認する方法です。
- エアコンを冷房の最低温度で15分ほど運転する
- 強制冷房運転の方法がわかる場合は、強制冷房運転をする。
- 室外機の配管接続部のカバーを外す
- ネジを外し、カバーを下にスライドさせると外れる(カバーがない機種もある)
- 配管の状態を確認
- 霜が付いている場合は、ガス不足の可能性。既定量のガスが入っていないため、ガス漏れしている可能性が高い(霜ではなく水分が付着している、手で触って冷たい場合は正常)
- 配管の温度を確認
- 手で触っても冷たさを感じず、常温に近い場合は、ガスがまったく入っていない可能性があります。これもガス漏れの可能性が高いです。
以上の手順で、おおよその確認ができます。
家庭用エアコンのガス補充料金
現在採用されているエアコンのガスは、追加で補充することができません。一度完全に空の状態にする必要があります。状態によってはガスの回収費用が発生してしまいます。
一般的な家庭用エアコンで「15,000~25,000程度」が料金相場になります。ただし、状況や業者によっても異なるため、さらに高額になる可能性もあります。
ガス漏れ以外で「冷えない・暖まらない」時に考えられる6つの原因
ガス漏れ以外の原因で「冷えない・暖まらない」時に考えられることは
- フィルターの汚れ、室内機の汚れ詰まり
- エアコンの設定
- 能力不足
- 放熱妨害
- ショートサーキット
- 部品の故障
以上6つがあります。故障以外は自分で対処できる内容なので順番に確認してみて下さい。
フィルターの汚れ、室内機の汚れ
フィルターの掃除はしていますか?最近では、自動で掃除をする機能が備わった機種も増え、自分でフィルターを掃除する機会は減ってきましたが、確認してみましょう。
自動掃除機能がある場合でも、設置環境によっては掃除がうまくいかないことがあります。
たとえば、料理をするキッチンの近くに設置されている場合などは、油汚れが徐々に蓄積し、ホコリが付着しやすくなるので、定期的に確認しましょう。
便利な自動掃除機能ですが「自動排出方式」と「ダストボックス方式」の二つのタイプがあり、ゴミを処理する方法が異なります。
自動排出方式の場合、掃除したゴミは直接外に排出されるため、内部にゴミがたまりません。ダストボックス方式では、内部のゴミ箱にたまるため、定期的にゴミ箱の掃除が必要です。
もし使っているエアコンに掃除機能が付いている場合でも、エアコンシーズンの始めや終わりにフィルターが汚れていないか確認しましょう。
加えて、室内機の内部が汚れていると、冷え方に影響が出てきます。フィルターの奥にあるフィンの部分や風の出口のファンの部分に汚れが詰まっていないか確認しましょう。
汚れがひどい場合は、エアコンクリーニングで改善することができます。
エアコンクリーニングについてはおすすめのエアコンクリーニング業者厳選7社を比較!口コミ・評判から選び方まで徹底解説を参考にして下さい。
エアコンの設定
エアコンの設定を確認してみましょう。風向きや風量は適切か(基本的に、冷房は上向き、暖房は下向き)エコ設定やセンサー設定は適切か確認しましょう。
最近のエアコンは、エコモードやセンサーなどの省エネ設定ができるものも多く、人がいない時は無駄に冷やさないなど自動で判断します。効きが悪いと感じた時は、エコ設定をオフにすることで改善する場合もあります。
適切な設定なのか確認しましょう。
能力不足
部屋の広さにエアコンの能力はあっていますか?以下は、一般的なエアコンの能力の目安です。
畳数 | エアコンの容量 | 冷房能力 | 暖房能力 |
---|---|---|---|
6畳 | 2.2kw | 木造6畳、鉄筋9畳 | 木造6畳、鉄筋7畳 |
8畳 | 2.5kw | 木造7畳、鉄筋10畳 | 木造7畳、鉄筋7畳 |
10畳 | 2.8kw | 木造8畳、鉄筋12畳 | 木造8畳、鉄筋10畳 |
12畳 | 3.6kw | 木造10畳、鉄筋15畳 | 木造9畳、鉄筋12畳 |
14畳 | 4.0kw | 木造11畳、鉄筋17畳 | 木造11畳、鉄筋14畳 |
18畳 | 5.6kw | 木造15畳、鉄筋23畳 | 木造15畳、鉄筋18畳 |
20畳 | 6.3kw | 木造17畳、鉄筋26畳 | 木造16畳、鉄筋20畳 |
23畳 | 7.1kw | 木造20畳、鉄筋30畳 | 木造17畳、鉄筋21畳 |
住宅の仕様や日当たりなども考慮して、6畳には8畳用を設置するなど余裕のある状況にすることがエアコン選びのポイントです。
放熱妨害
室外機の周囲に障害物はありませんか?
壁との距離が近かったり、植木鉢などを置いていたり、庭木が多い茂っていたり、障害物があると放熱妨害が起こり熱交換が正常にできなくなります。
室外機のカバーなどにも注意が必要です。ファンを塞がないように、周囲は十分なスペースを取りましょう。
夏場に直射日光が当たる場合も、周囲が熱くなることで放熱が滞るため冷房の効きに影響します。よしずなどで日陰をつくると効果的です。
ショートサーキット
ショートサーキットとは、エアコンから吹き出した風が障害物に跳ね返り、すぐに吸い込み口に戻ってしまう現象のことです。
エアコンは吸い込み口に温度を検知するサーミスタが付いているため、部屋は設定温度に達したと勘違いし、冷えないなどの症状に繋がります。
室内機の前や付近にタンスなどの大きめの家具はありませんか?ショートサーキットの原因になりそうな場合は移動しましょう。
部品の故障
エアコンの室外機のファンは回っていますか?
もし回っていない場合、故障している可能性があります。故障の原因は室内機や室外機の制御基板など、さまざまな要素が考えられます。
問題が発生した場合は、タイマーランプが点滅したりエラーコードを表示することで、故障の内容をお知らせする場合があります。お知らせ方法は、各メーカーごとに異なります。
修理を依頼する際は、点滅やエラーコードを修理業者に伝えることで、修理作業をスムーズに進めることができます。そのため、点滅やエラーコードを表示した時は、必ずメモしておきましょう。
また、ファンが頻繁に動いたり止まったりする場合は、フィルターの掃除や放熱の妨害対策、ショートサーキットの改善などを行うことで、問題が解消することもあります。
まとめ
エアコンが冷えない、暖まらない時に最初に考えしまうことはガス漏れですが、何かない限りガス漏れの心配はありません。
長く使っていて、冷えない、暖まらないなどの症状が出た場合はガス漏れ以外の原因かもしれません。
反対に、設置後1~2年で鳴った場合は、施工ミスによるガス漏れの可能性があります。
ガス漏れの際は、補充するだけでは一時しのぎになるだけなので、必ず合わせて原因を特定し改善して貰いましょう。
8年以上のエアコンであれば、買換えを検討した方が無難でしょう。
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